2003年12月

お題｢マフラー｣、選者･小西昭夫さん

選ばれた作品
大嫌いだけどマフラー編んだげる
全国数える程度も居るか如何か分からない冴戒ファンの皆さん、長らくお待たせいたしました(笑)。
優秀作としては4月の｢風船｣以来8ヶ月ぶりの採用で御座居ます。いやぁ、長かった。
しかも小西さんの撰だと｢大根｣以来約1年ぶり2度目です。小西さんはこういう句が好きなのかも?(笑)
で、恋の句ばかりになりそうだったので、そうじゃない句もつとめて作ってたんですが、撰ばれたのは何故かこんなにも恋真っ盛りな句。TV見てて自分で噴き出してしまいましたよ(笑)。
今回も｢朧庵｣の仲間の方々が多くて、そういう面でも面白かったです。

ボツ作品
マフラーを切り落とされしタグひとつ
…一番の自信句。先日友人にマフラーを買ってあげたこともあり、ふとマフラーの｢タグ｣(メーカー名とか書いてるやつ)に注目してみました。
マフラーが習わぬ年号覚へ込む
…歴史の授業でも教師の目を盗んでこそこそマフラーを編んでいる姿。主人公の代わりにマフラーが授業を聞いていたのですな。
マフラーの長さと競う片想い
…今日の1句目がたまたま｢片想い｣の句でしたが、こっちにもあったのですよ(笑)。
マフラーに搦め取られし登下校
…｢搦め｣は｢からめ｣と読みます。マフラーを巻くのではなくマフラーに巻かれてるのです。
マフラーの君と降り立つ伯方島
…映画｢船を下りたら彼女の島｣のような情景。｢マフラーの君｣は寧ろ｢君の編んでくれたマフラーに居る君｣のようなニュアンスです。
マフラーが重くなつてく胸はずむ
…編んでいくうちに次第にマフラーが重くなっていて、それにつれて心も弾んでいく恋心。
帰宅してマフラーさへも僕のやう
…帰ってきてマフラーを脱ぎ捨てたら、それが丁度疲れて帰ってきた自分みたいに見えたとかいう感じ。
マフラーに包むビスケット二つ三つ
…実は｢包む｣がポイント。この字は｢つつむ｣だけじゃなく｢くるむ｣とも読めるのです。
マフラーのやうな子供と親のまち
…｢マフラーのやうな子供｣ってどんな子供だろう?という、いつものように自分でもわからない問いかけを置いてみたり(ぉぃ
マフラーを巻くおもむろな仕草かな
…マフラーじゃなくて、そのマフラーを巻く仕草に注目してみました。
手袋がマフラーになりたまになる
…｢たま｣は｢毛糸玉｣とネコの｢タマ｣をかけてます。マフラー編んでたのに隣でタマが玉にしちゃったよぅ、という感じ。
マフラーを巻かずにきてもいいですか
…別にかまわないじゃないですか?(ぇ
マフラーになつて君だけ護らせて
…韻を踏んでみただけの句。
マフラーの重さ感じる冬の恋
…｢マフラー｣が季語であることを無視してみた句。
雪おちてマフラーに触れとける恋
…｢とける｣のは雪かな恋かなと。
マフラーをぐるぐる巻きにする気持ち
…とりあえずこの辺まで自分でもちょっとどうかなと思う作品4連発でした。
マフラーを搖らしてけふは參觀日
…｢参観日｣を敢えて旧字体で書いてみました。｢揺らす｣や｢きょう｣も古め。
マフラーの長さを伝ふものがある
…なんか意味深。
マフラーの糸一本ののびるやう
…結構いい感じかなと思いつつ。

もどる