｢夏井いつきの一句一遊｣2004年篇

・マシュマロの反発力や星荒るる(12月23日(水) 兼題｢荒星｣)
・ラグビーのボールは楕円冬夕焼(ふゆゆやけ)(12月1日(水) 兼題｢冬夕焼｣)
・鹿狩(ししがり)のごとく俳人生活す(11月25日(木) 兼題｢狩｣)
・黒板の名前を消して秋や行く(11月10日(水) 兼題｢行く秋｣)
・イアフォンでクイーン叫ぶ夜学生(10月27日(水) 兼題｢夜学｣)
・相撲って相模(さがみ)といふ字に似てますね(10月4日(月) 兼題｢相撲｣)
・憲法第九条鵙(もず)のひと鳴き(9月30日(木) 兼題｢鵙｣)
・蟷螂(かまきり)の見る一億の僕が居る(9月10日(金) 兼題｢蟷螂｣)
・修正液固まりきりて休暇明く(9月1日(水) 兼題｢休暇明｣)
・踊子の耳は福耳目は二重(ふたえ)(8月16日(月) 兼題｢踊｣) ※ここで言う｢踊｣は盆踊りなどに限定される秋の季語です
・山蟻や空一点の曇りなし(8月5日(木) 兼題｢蟻(あり)｣)
・解きかけのクロスワードや蝿叩(はえたたき)(7月15日(木) 兼題｢蝿叩｣)
・はたた神百まで数えられぬ子や(7月8日(木) 兼題｢雷｣) ※｢はたた神｣は雷の別名です
・同じ歌何度も歌ふ夏の川(6月17日(木) 兼題｢夏の川｣)
・馴鮓(なれずし)も時計の音も乾きだし(6月9日(水) 兼題｢鮓(すし)｣)
・｢好きです｣の次の一瞬罌粟(けし)の散る(5月18日(火) 兼題｢罌粟の花｣)
・オーロラを見に遠足に行きませう(5月6日(水) 兼題｢遠足｣)
・春の鹿口笛で聞くビートルズ(4月29日(木) 兼題｢春の鹿｣)
・草餅や母の昔の彼氏来る(4月23日(金) 兼題｢草餅｣)
・花時の空に場外ファウルボール(4月16日(金) 兼題｢花時｣)
・仔馬ゆく明日のことなど知らぬまま(3月24日(水) 兼題｢仔馬｣)
・こぶし咲くやうなサヨナラホームラン(2月27日(金) 兼題｢辛夷(こぶし)｣)
・兄はさより待ち弟は女(ひと)待ち(2月20日(金) 兼題｢細魚(さより)｣)
・頭上には火星足許には細魚(2月20日(金) 兼題｢細魚｣)
・けふは晴れふぐの機嫌も良い日なり(1月30日(金) 兼題｢河豚(ふぐ)｣)
・人日や切り落とされし髪の山(1月9日(金) 兼題｢人日(じんじつ)｣)
・人日や絆創膏がズレてゐる(1月9日(金) 兼題｢人日｣)

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