｢夏井いつきの一句一遊｣2005年篇

・鷹といふ鳥の名前を噛み締むる(12月6日(火) 兼題｢鷹｣)
・おでん喰ひさて本筋に戻らうか(11月23日(水) 兼題｢おでん｣)
・秋惜しむ財布の中に要らぬ紙(11月9日(水) 兼題｢秋惜しむ｣)
・秋鯖(あきさば)やプロシンガーになる予定(10月19日(水) 兼題｢秋鯖｣)
・寒露の日とめるボタンが倍になる(10月10日(月) 兼題｢寒露｣)
・ぴょんぴょんぴょんバッタバッタバッタぴょん(9月26日(月) 兼題｢バッタ｣)
・強がりを言えば桔梗(ききょう)の花開く(9月15日(木) 兼題｢桔梗｣)
・八月へレール曲がって消えてゆく(8月24日(水) 兼題｢八月｣)
・生身魂(いきみたま)迷彩柄の半ズボン(8月17日(水) 兼題｢生身魂｣)
・人生に筋書きはなし仏法僧(ぶっぽうそう)(8月4日(木) 兼題｢仏法僧｣)
・薬屋の店主欠席冷奴(7月13日(水) 兼題｢冷奴｣)
・半夏生(はんげしょう)二分進んだ時計塔(7月6日(水) 兼題｢半夏生｣)
・永遠はなくていいから糸蜻蛉(いととんぼ)(6月22日(水) 兼題｢糸蜻蛉｣)
・どうせなら幸せがいい大鯰(6月8日(水) 兼題｢鯰(なまず)｣)
・バンバンを歌う十代薄暑かな(5月17日(火) 兼題｢薄暑｣)
・一杯の長い酎ハイみどりの日(4月26日(火) 兼題｢みどりの日｣)
・空気入れ持って帰るや花曇(4月14日(木) 兼題｢花曇｣)
・猫の恋赤一色にペンキ塗る(4月8日(金) 兼題｢猫の恋｣)
・杉ノ花人種差別ヲ廃止セヨ(3月30日(水) 兼題｢杉の花｣)
・春ショール世界が輝いて見える(3月30日(水) 兼題｢春ショール｣　※この週の兼題は｢杉の花｣)
・鳥帰る羽田の一つ前の駅(3月18日(金) 兼題｢鳥雲に入る｣)
・東風(こち)吹きてきのふの敵はけふの友(2月28日(火) 兼題｢東風｣)
・線香のにほいをまとふ田楽や(2月8日(火) 兼題｢田楽｣)
・長男も襖(ふすま)も遂に反抗期(1月28日(金) 兼題｢襖｣)
・ザボンの実宗教対立深きまま(1月12日(水) 兼題｢朱欒(ザボン)｣)
・顔面に水ぶつかけし元日や(1月5日(水) 兼題｢元日｣)

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