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醜い蔦が この足に巻き付いて
猶も私の行動を妨げる
どうしたいのかなんてまだ分からない
だけど絡まるこの枷は痛すぎて

もしもこの背中に羽根が生えていたら
迷わず飛んでゆくのに

午後1時の朱い空は
何故か涙誘った
私はまだ鳴けないから
檻の中 膝間付く

私の名前 呼ぶ声が聴えても
恐らくそれは 空耳に過ぎなくて
心に巣喰う 青色の虫達は
私の中の 欲望を餌にする

もしもこの背中に羽根が生えていたら
風さえ起こしてくのに

午前4時の漆黒い空に
燈る星は無くって
私はまだ鳴けないまま
檻の中 喘いでる

有り得ないと言って
その口唇で
振るえる口嘴を
摘まんで欲しい...

午後1時の朱い空は
何故か涙誘った
私はまだ鳴けないから
今日も独り切りで

檻の中 死んでゆく

作者注:
「雛」(タイトル)→「ひな」
「醜い蔦」(1行目)→「みにくいつた」
「猶も」(2行目)→「なおも」
「枷」(4行目)→「かせ」
「膝間付く」(10行目)→「ひざまづく」
「漆黒い」(17行目)→「くろい」
「燈る」(18行目)→「ともる」
「喘いで」(20行目)→「あえいで」
「振るえる口嘴」(23行目)→「ふるえるくちばし」

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