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月嫌い


アノ月ヲ見上ゲル度 貴方ノコトヲ想ッテ…

雨が上がつた次の朝(ひ) コンクリイトが薫つて
忘れ掛けてゐた記憶を息吹かせる
"愛シテヰル"だなんて 遣ひ旧しの言葉が
今更口を突くのは 何故かしら

近いやうで 貴方は未だ 遠いとおい 存在(ひと)で居たの
其の瞳の 視てるモノは 私のとは 似ても似つかぬ

月に反射して あたしの心を 映したら
貴方は嗤つて呉れるでせうか
貴方の匂ひは 月の残り薫に似てるから
あたしは嗤つて ゐられないよ

好きになるには遠くて 嫌ひになるには近ひ
貴方はさふいふ 月のやうに見へる
譬へ貴方の耳に 此の聲届くとしても
貴方のなかには決して響かない

あゝ 貴方になら
あゝ 理解つて呉れると思つた

貴方の横なら 永遠如きも信じれた
月の及ぼした 幻でせうか

月に反射して あたしの心を 映したら
貴方は嗤つて呉れるでせうか
貴方の匂ひは 月の残り薫に似てるから
あたしは嗤つて ゐられないよ

月なんかまう 消えちやえば宜い・・・
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