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つきのうた

第1幕

「街中にコープスが現れ、少年を殺害した事件が無事解決となった。コープスのもつ首飾りに付着していた血が証拠となり、少年と交際していた少女がモンスター化していると断定されたため。この血染めの首飾りは、被害者より贈られた手作りのプレゼントであると判明しているが、少女については何もわかっておらず、引きつづき捜査を行うとのこと。」
〜FINAL FANTASY XII ハントカタログ コープスの章より〜

「ねぇ、疾風〜?聴いてる?」
私は、さっきからテレビゲームとにらめっこしている疾風の後ろからそう聞いた。そのついでに、自分の両手を彼の首にまわす。そして自分の顔を彼のすぐ横まで持ってきて、そこからじっと彼の横顔を眺めた。…私の名前は雪川美寛。背はそんなに高くないけど可愛さにはちょっぴり自信があるの。趣味はミステリを読むこと。今は高校2年生で、目の前にいる男の子…月倉疾風の幼なじみで、色んな事を乗り越えて先月から恋人になったの。だから、今の私は自分の人生の中で、一番幸せな期間のスタートラインにいる。そして、それは疾風と一緒にずっと続いていくんだ…。疾風の横顔を見ながら、私はそんなことを考える。そして、目の前にいる彼のことも…。
月倉疾風。今時の男の子としてはあまり背が高いほうじゃないけど、きれいなストレートの髪をしたかっこいい男の子なの。他の女の子は「暗そう」とか「冷たそう」とか、あまりいいイメージはないみたい。まぁ、今も紺色のトレーナーに黒の長ズボンをはいていて、しかもテレビゲームをしているんだから、あんまし陽気には見えない。でも、それは本当の疾風をみんなが知らないからだ。疾風は、確かに普段は少し無口で、口を開けばちょっぴり口が過ぎることはあるけど、いつも優しい。私にだけは…かな?それに不器用だけど励ましてくれるし、大事な時にはいつも側にいてくれる。私が「行きたい」って言えば、どんな所にでも連れて行ってくれる。つまり、疾風は私だけの王子様、なんて言うと完全にノロケだけど、私にとってはそうなの。そんな疾風の瞳が、一瞬だけ私の瞳と重なる。
「うん、一応ね」
「一応じゃダメ!ちゃんと聴いてよ」
私は無理やり疾風の正面にまわりこんだ。椅子に座っている疾風の膝の上に、顔をちょっぴり膨らましながら座り込む。そこまでしてやっと、疾風は「やれやれ」って顔つきで、ちゃんと私の方を向いてくれた。ちなみにここは疾風の部屋で、今この家には私たち2人しかいない。
「…ごめん、美寛。悪かった」
「ホントだよ!女の子の話は、つまんなくったってちゃんと聞いてよね」
口ではちょっぴり怒ったように言うけど、私自身、本当は嬉しくて嬉しくて仕方なかった。
「分かったよ。でもさぁ、もう少し分かりやすい話をしてよ。女のファッションの話なんて、悪いけど俺は興味ない」
「ふ〜んだ。疾風、ゴスロリにはすっごい興味あるくせして〜」
そう言ってやると、疾風の顔がすぐにパッと赤くなった。こういう疾風の反応が、なんかカワイイ。
「バ、バカなこと言うなよ!」
「あれ〜?じゃ、何で今日は、私をあんまり見てくれないの?」
「そ、それは…」
疾風は言葉を詰まらせた。彼の目が私の服をじっと見ているのが分かる。そう、今の私は秋葉原の喫茶店で女の子たちが着ていそうな服を着ていた。白とピンクが基調のブラウスとロングスカートだけど、いたるところにフリルや花のプリントがついている服で、さっきから疾風が直視できないでいるのを内心とても面白がっていた。今日は2月14日。私がこの格好で疾風と一日過ごすことが、疾風へのバレンタインデーのプレゼントなの。
「ほら!…えへへ」
ちょっぴり子供っぽく笑ってみる。あどけない眼差しで疾風を見つめると、疾風は完全に舞い上がっているみたいだった。顔が真っ赤。ここまで感情が表に出る疾風も珍しい。それだけ今日の「作戦」が成功だってこと。
「もう…ホント、やめろよ…。こんなに鼓動が早くなってるんだから…美寛、俺の寿命を縮める気?」
「あ、ヒッドイなぁ。…疾風に喜んで欲しかっただけだよ」
真面目な顔つきでそういうと、疾風は目を閉じた。たぶん、私の言葉をかみしめてくれてるんだと思う。
「美寛…ありがと。ちょっと待ってて」
疾風は私の体をちょっぴり持ち上げて、もう一つの椅子の上へと移してくれた。そして自分は、テレビゲームを片付け始める。ゲーム機本体の横には、1つのゲームのパッケージが置かれていた。“STORY OF MOONLIGHT”というRPGで、疾風がいうには去年の年末に発売されたらしい。
「ね、今は何してるの?…この前、“STORY OF MOONLIGHT”は最後まで終わったって言ってなかった?」
「ん?今は“ブレイブノート”の穴を埋めているところ」
「はぁ?何、それ?」
私はあまりゲームに興味がない。でも、疾風はかなりゲームが好きだ。やりこんだゲームなら敵のHPから物語中のセリフまで覚えていて、しかもたまに引用までするんだから、たぶん結構マニアックな部類に入ると思う。でも、誰だってそういうマニアックな面は持っていると思う。私だって、推理小説のセリフを引用したりすることがやっぱりあるもの。例えばつい最近なら、カフェオレを飲んでいた疾風に「『コーヒーに不純物を混ぜることは、コーヒーを冒涜する行為』なのよ」なんて言ったこともあるし。
「…この“STORY OF MOONLIGHT”ってRPGには“ブレイブノート”っていう項目があるんだ。このノートには、規定数以上の敵を倒すと新しい項目が追加されていく。その項目に、その敵が持っている宝物やゲームの攻略に関するヒントが書かれているんだ。例えば…」
疾風が画面を操作すると、そこには西洋の甲冑をまとった騎士が現れた。両胸の辺りに二つ、三日月が描かれている。その手には先が二又に分かれた槍が握られている。これも三日月をイメージしているのだろうか。なんだか「悪霊館」に一体くらいいてもおかしくなさそうな外見だった。疾風が続きを説明してくれる。疾風は推理小説の趣向を話すときの私と同じで、こういう事を律儀に説明してくれるのだ。これは、疾風なりの優しさなんだ。
「この敵はクレセントナイトっていう敵だ。今はどんな敵か、っていう説明だけしかないだろ?ここで、右上の20っていう数字を見て。これは“この敵を20匹倒せば新しい情報が追加されます”っていう意味。で、20匹以上俺はこの敵を倒しているから、次のページの新しい情報が見れるわけ」
疾風がいわゆる十字キーの右を押すと、新しい文章が追加された。それはこんな文章だった。

「私は目の前に佇む美しき月の女神に尋ねた。“月の女神よ、あなたはどのようにして不老不死の力を得ているのですか?”女神は優しい微笑みを浮かべて答えた。“それは月の民からクレセントフィアーを得ているからです。”私はさらに尋ねた。“そんなものは聞いたことがありません。一体どのようにして手に入れるのですか?”女神はその微笑みを絶やすことなく答えた。“月の民をいたぶり殺すのです。彼らの断末魔の叫びがクレセントフィアーになります。私は彼らを、何日も時間をかけていたぶり殺すことで、彼らの叫びを、恐怖を集めて、不老不死の力を得ているのです…。”」

「えっ……な、何これ!?」
私は目の前に映し出された文章の意外性、それ以上に残虐性にただただ驚いていた。これじゃゲームの攻略要素というより、J・D・カー好みの怪奇的な文章だ。その一方で、疾風にはほとんど驚いた様子がない。
「クレセントナイトはクレセントフィアーっていう宝物を持っている。そのことを示すヒントさ。時間をかけて倒す方が、敵が宝物を落としやすくなるっていう事を遠まわしに暗示している」
「だ、だけど…いいの?」
私は気になって尋ねた。私はともかく、こんな文章を何も知らない大人が見たら、すぐに「テレビゲームが子供に与える悪影響」の話を喜んでするに決まっている。一応最近のテレビゲームにはCERO(コンピュータエンターテイメントレーティング機構)の審査というものがあって、犯罪や恐怖やギャンブルなど子供の頃から関わらない方がいいようなものには表示年齢以上の人を対象とした販売を行う、という事にはなっているそうだ。でも抜け穴が存在することは否定できない。
「俺から言わせれば、美寛の読む本よりはまだマシだと思うけど?」
そういわれると強く反論は出来ない。確かに私だって、初めて二階堂黎人の作品…私は「悪魔のラビリンス」から読み始めたけど…を読んだときは気持ち悪くなった。いくら読みなれているとはいえ、カリバニズムや死姦だなんて、想像するだけで怖い。
「ま、とにかく今はこの“ブレイブノート”の補完作業をしているの。要はこういう文章を全部読めるように、ね」
私はちょっぴり呆れた。もぉ、疾風はやっぱりマニアだ。…でも、その気持ちは分かる。一度そろえ始めると全部欲しくなるのが人情だ。私だってそう。それがたまたま何に向いているかの違いだ。ある人は蝶を採集し、ある人は登山に凝り、ある人は少女マンガに夢中になる。それが疾風の場合はゲームのデータであり、私の場合は推理小説っていうだけ。この世の誰もがマニアでありオタクであるんだから…。
「…さ、ごめんな、美寛。こんな話につき合わせて」
気がつくと疾風はテレビの電源を切っていた。私の話をしっかり聞くという意思表示なんだと思う。…それ以前に、彼女の目の前で堂々とテレビゲームをする疾風の神経は私には信じられないけど…私のこと、ずっと見てたって飽きないでしょ?…でも、今日は「作戦」が成功したこともあるし、大目に見てあげよう。
「いいよ。その代わり、今からは私の話に付き合って」
「ああ。…で、女性ファッション誌の話?」
「ううん、違うよ。天城さんのお話」
それだけで疾風には何の事だか分かったらしい。でも、それも当然だ。今のワイドショーはその話で持ちきりだから。もっとも、私はワイドショーには興味がない。被害者や犯人、残された親族の心理や経歴を好き勝手に述べるだけだから。日常の些細なトラブルなんてもっと聞きたくない、例えばこの前の話…「新しい大手デパートの誘致に伴う地元商店街の苦悩」だなんて!隣の市で、市長が地元の反対を押し切って誘致した大型デパートを含むショッピングモールが大繁盛している一方で、地元の商店街はかなりの不振に陥り、自殺者も出たとか…。その強引さが裁判沙汰にまで繋がったらしいけど、そんな事を熱心にあげつらって、本当のこと、大切なことを伝えたと思ってるの?もちろん、その話をつい聞いてしまう私も私だけど、少なくとも私はそんな仕事で生きていくような人にはなりたくない。
でも、今回は決定的に違う。
「全く…あの“不可能状況”か?美寛も好きだよね…」
そう、大事な言葉は“不可能状況”。
「いいから聞いて!…どんな話かは知ってるよね?」
疾風は自分のベッドの、私の横に腰掛ける。そうしてふっと、私の腰に手を回してくれる。私と疾風が恋人同士の関係になってから疾風は、私が彼の身体に触るのを嫌がらなくなった。それだけじゃなくて、疾風自身もこうやって、私の体に手を触れてくれるようになった。それが今までとは違うから、いつも実感できる。ああ、本当に疾風は、私の恋人になってくれたんだな、って。たぶん疾風には、こんなところまで私が思っているなんて絶対分からない。でも、分かんなくていい。だから一緒に居られるもの…
「え?ほとんど知らない。…大体、美寛の方が多く知ってるに決まってるだろ?また親父さんから色々聞き出してるくせして…」
疾風の言う「親父さん」とは、私のパパ、雪川隆臣の事だ。私のパパは警察官だから、無理やり頼み込んで色々な話をしてもらっている。本当は守秘義務とか面倒なお約束がいっぱいあるんだけど、少なくとも私の辞書にはそんな言葉はない。いつもはちゃんと「神崎のおじさま」…本名を神崎龍牙という元舞台俳優の名探偵で、お父さんを含めた警察からの信頼が厚い…を中継して話を聞かせてもらうけど、今はそれが出来ない。おじさまは先月の上旬に交通事故にあってしまった。2週間足らずで無事退院したけど、今は療養のために、生まれ育った島に帰っているそうだ。もちろん「神崎のおばさま」…とは言っても奥さんじゃなくて妹だけど…と2人で。今頃はT湾に浮かぶ離島で、のんびり過ごしているのだろう。だから今、私はちょっと変わった事件の話を、パパから直接聴いているのだ。そしてその中に、今ワイドショーをもっとも賑わせている、例の事件があった。
「ううん、今回はそんなに聞けないの。だって管轄外の話なんだもん。あれは隣の地区で起きた事件でしょ?」
「だからそんな事知らないってば。…それで?」
「被害者は天城潤、26歳。いくら何でも彼の名前くらいは、知ってるよね?」
疾風は小さく頷いた。でもちょっぴり、ふてくされたような顔をしている。
「ああ。男性ファッション誌、“JUDIE”のモデル出身の俳優だろ?」
「そう、あの長身ですっごくカッコイイし、俳優としての演技もモデル出身にしては上手だったし。かなり女の子から受けがよかったんだよね…って、疾風怒った?」
「別に。興味ないね」
疾風は肩をすくめて両手を動かす。何だか、疾風にしては大げさなリアクションだ。たぶんこの仕草は誰か、ゲームの登場人物の真似なのだろう。
「そっか…。とにかく、彼が殺されたのよ。自宅近くの砂浜で…砂浜には、彼の足跡しか残っていなかったの」

私は疾風の顔を見ながら、ゆっくりと話しはじめた。
「いい?彼が死んでいたのは、自宅から歩いて5分くらいのところにある砂浜。…天城さんの家ってかなりお金持ちらしいんだけど、両親の過保護を嫌って一人暮らししていたそうなの。海釣りが趣味だったから、その家も海の近くにあったんだって」
「それで?どんな状況で見つかったの?」
疾風は先を促した。私にしたって、本当はすぐに不可能状況の話がしたいけど、現実の話だから被害者の状況を補足して話をしないといけないな、とも思う。なんだか私まで、ワイドショーに汚染されてしまった感じだ。もし推理小説を単なるパズルと捉えるならそんなことは必要ないけど、これが現実と虚構の差だと思う。
「第一発見者は近所の人だったらしいの。彼が、砂浜に倒れている人を見つけて、あわてて警察を呼んだわ。警察が着いてみると、砂浜の真ん中に男が1人倒れていたの。撲殺で、ほぼ即死だっただろう、って。死亡推定時刻は発見された時刻の7時間ほど前って言っていたから、前の日の午後11時半ごろね。それでね、足跡なんだけど…」
私は一度、ここで言葉を切る。そうしてから次の言葉を口にした方が、聴く側にとってもちょっぴり効果的だからだ。あのエラリィ・クイーンも、よく好んでそういう言い回しをしていた気がする。
「被害者の足跡しかなかったの。被害者が浜辺の真ん中に行っている一連の足跡と、1つだけある振り向いた足跡だけしかないの。それ以外の足跡…まして他人の足跡なんて1つもなかったの」
「って事は足跡さえあれば、犯人は被害者と話をしていて、被害者が立ち去ろうとして振り返った瞬間に鈍器で殴ったって事になるのか。ただ…」
「そう、足跡がないの。それからね、気になるのは天城さんの靴がちょっぴり濡れていたってこと。だから私、氷を使った何かのトリックなんじゃないかな…って思うの」
氷を使う、という発想は推理小説では基本的な部類に入る。鍵をかけて密室を作るため、刺殺や毒殺のため、自殺を他殺に見せかけるため…その用途は実に様々だ。
「どぉ、魅力的でしょ?」
私が半ば笑顔でそう言うと、疾風はいつもみたいにため息をつく。
「あのね、美寛…」
「分かってるよ!人が1人死んでるのに不謹慎だ…でしょ?」
私のその言葉に、疾風は意外そうな顔をした。
「いや、違うよ。美寛のそういう思考回路は、俺、もう諦めてるから」
それはそれでひどい。…一方の疾風は言葉を続けている。
「…そうじゃなくってさ、美寛はいつも、単純なことを複雑にしてるっていいたいのさ。足跡くらい、いくらでもかき消せるだろ?自分の足で…」
「そういう事をしたら、不自然な跡が残るでしょう?不自然な跡は、全然なかったの」
「じゃあ、自然に消してもらえばいいだけだろ?」
「…えっ?」
私は思わず聞き返す。疾風は私の側を離れ、今度はパソコンを起動した。
「あのね、美寛」
疾風は優しい声で私に語りかける。二人きりだからこそ、この声は甘美に響いた。
「美寛さ、忘れてないか?潮の満ち引きの事」
潮の、満ち引き…?私は文系だし釣りにも興味がないから、そんな言葉を聞くのは久しぶりだ。えっと確か、月の影響で潮は満ちたり引いたりする、っていう事くらいは覚えてる。そういう事を私が一生懸命思い出している間に、疾風はネットで、満潮時刻と干潮時刻が記録されているページを開いていた。ちなみに疾風は理系ね。
「えっと…犯行当日の満潮時刻は12時28分と23時35分で、次の日…つまり、死体が発見された日の干潮時刻は5時32分か。もう分かっただろ?犯人は犯行当時、つまり満潮時に波打ち際だった場所で被害者を殺害し、多少海に入って波打ち際を歩き、ずっと遠くで…おそらく堤防みたいな足跡のつかない所で…陸に上がればいいだけだ。そうすれば犯人の足跡は勝手に波が洗い流してくれるし、被害者の靴が濡れていても不思議じゃない。死体が朝になって発見されたときには干潮だから、後には被害者の死体と足跡しか残らない…。そうだろ?」
疾風の単純な説明に、私は言葉を失っていた。
「そんな…え〜、そんなの、無いよ!」
「だから、小説に書いたような事件なんてそうそう起きないって事。美寛、分かった?」
疾風に私の頭を撫でられた。恋人じゃなかった頃より優しく撫でてくれるのは嬉しいけど、バカにされてるみたいでちょっと悔しい。思わず悪態をつく。
「ふ〜んだ!疾風クンはロマンチックじゃないなぁ!!」
「ロマンチックなのは俺と美寛の関係だけでいいだろ?それより…」
私はそこから後の疾風の言葉を聞いていなかった。その直前の言葉があまりに嬉しくって、おもわず夢中で疾風に抱きついていたから…。でも、疾風の言葉は、あとあとずっと響いてくるものだった。疾風はそのとき、こう続けたの…。
「なんでわざわざ、そんな事…?」
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