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やみのうた

舞台裏


皆様、深駆初の長編小説「やみのうた」、お楽しみいただけましたでしょうか?まずはとにかく、こんな長文駄文を読みきっていただいた皆様に深く感謝感謝です。どうもありがとうございます♪

そうだ、まずは例によって。この文章では後半のほうで、拙作「やみのうた」のトリックに触れます。該当箇所ではその旨明記しますので、気をつけてください。

この小説はとにかく、一切遊びなしです。美寛が雑多なミステリネタを随所に乱発することも無ければ(ちょっとだけ名探偵コナンのお話とカーの『爬虫類館の殺人』のお話が出てきますが)、疾風が一般読者には意味不明の(苦笑)ゲームネタを口にすることもありません。ラブコメ要素?と普段言われている美寛と疾風のノロケシーンも、今回はいつになく重厚なイメージ。深駆の死生観や生命観やメディアの捉え方が、色濃く出ていると思います。もう、とにかく書くのに疲れた。これ、実は5月くらいから書き出したの。初稿が完成したのが7月末。それから色々加筆修正しています。そりゃ、これだけ重いのを書いていれば、「ゆめのうた」「あいのうた」「ときのうた」のようなものを書きたくもなりますよ(笑)。第5幕の「とんでもない事件」のくだりは拙作「あいのうた」の事です。また、閉幕の後半部分は、「ときのうた」のプレリュード。
あ、ここで忘れないうちに明かさなくちゃね。深駆が「吟遊詞人7周年記念」の暗号に使った文字の意味のお話。

『目映い紅玉が起こす7つの風 
蟹とライオンが見守る7つの月 
賢人の歩むマナの地は7つの星 
同名の聡明な二人は7つの夢 
光る北斗七星が照らす7つの愛 
孤城落日の七色図式は7つの時 
荘厳で温和な煙草は7つの闇』

という暗号で、7番目の文字だけを拾い読みすると「吟遊詞人」になる、というものだったんですけれど…。これの各節の最後の漢字、実は深駆の今年1年の、小説の刊行予定表だったのです(笑)。1月に「かぜのうた」、5月に「つきのうた」と「ほしのうた」、7月に「ゆめのうた」、8月に「あいのうた」、10月に「ときのうた」、そして今月12月の「やみのうた」というネタなのでした。この7つの漢字の並び(風月星夢愛時闇)、幕間にも出てきますよ。
人物の話もしましょう。とにかく夜屋家の人間は、使用人の3人も含めて全員「やみ」という文字列を含みます。全員名字は「や」で終わり、名前は「み」から始まりますから。これは分かりましたよね?第3幕で名前だけ出てきた使用人も「か『やみ』つひこ」さんだし。ちなみに三厩は(美沙さんの名字ですけど)JR津軽線の終着駅だそうな。それから、夜とくれば月という深駆の単純な連想(苦笑)によって一部の人は名前が決まっています。美月さんはいいよね。美留奈は「夜・闇・ルナ(lunar…月の、という形容詞)」です。美依夢は実は「夜・闇・moon」のつもりなの。更に民人は「夜・闇・night」のつもり…。それから実大と実亜那は「(み)だい・(み)あな」→ダイアナ、ですね。ダイアナはアルテミスの英語読み。アルテミスが月の女神だという事は、第1幕で美月さんが言うとおりです。他の人はテキトーという噂(苦笑)。キャラクターの性格については…できるだけ普段の深駆と重ならないイメージを目指したつもりです。実大と美依夢がその筆頭(笑)。一時期、美月さんを外見とは裏腹に性格悪い人に変えようかとも思ったけど(美寛の眼前で疾風を誘惑とか…笑)、止めておきました。

(注、以下の1段落で「やみのうた」のトリックに触れますよ〜)
トリックについては…実は今回、深駆の初期段階の小説たちに応用をかけていたの。馴染みの読者の方々、気付きましたか?…の前にそんな人がいるか怪しいのですが(苦笑)。深駆が「初期段階の小説」というと、それは「最後の場所」「完全無欠な殺人」「13人の恋人」「Brilliant Number “444”」「Blue Deep-sea Forever」を指します。いずれも深駆が高校時代に書いた、現在「吟遊詞人」からは全消去されている(苦笑)作品ですね。ちょっぴり具体的に言うと、「最後の場所」では切断した死体を狭い隙間から通す、というトリックを仕掛けていて、これが実大(&実亜那)への応用です。「完全無欠な殺人」は、死体を天井にくくりつけて消すトリックを使ったの。我ながら無茶にもほどがあるなぁ(苦笑)。これは死角を利用した隠匿、ということで日野の事件に応用。「13人の恋人」はダイイングメッセージものだったので、これは民人の事件に繋がりますね。「Brilliant Number “444”」は連続殺人。最初の事件がいわゆる「遠隔殺人」でして、これをミロに使用することに。最後の「Blue Deep-sea Forever」は深駆の一番好きな、殺害場所をごまかすトリック。この作品では海で溺死させられたと見せかけて、本当は神崎龍牙(注、当時のシリーズの主人公。雪川隆臣の親友で、美寛の推理における師匠的存在。拙作「かぜのうた」にも登場します)の実家で殺されていたという…そういうトリックは深駆が好きでよく使うの。今回は美月さんに。…つまり新しく考えたのは美依夢の事件だけなのですね。でも、あれは……って感じだよなぁ(苦笑)。
(トリックに関する話はここまでです。続きは普通にお読みください)

…そう、実は最初のプロローグの文章は、深駆が超ブルーモードの時に書き出したのです。何かが原因で、ものっすごいヘコんだ日があって、その恨みつらみ?を暴走させて書いたのがあのプロローグ(苦笑)。ちなみに今「どりーむずまいん」を見て思い出したけど、どうやらこの日、就職活動で失敗したことが分かった日みたい(苦笑)。ああ、なるほどね〜。現実の深駆はね、その〜…実はあんまり、今の超資本主義社会が好きじゃない。だからといって共産主義者ではないんだけどね。…ほら、疾風が第5幕で言うでしょ?「拡大解釈すれば、どんな職業でも誰かの恨みは買うよ」って。…とにかく深駆はあんな、お金のために誰かを蹴落として生きていることを、常に謀略して画策して自分を騙して、なんて事を実感するような場所には生きていたくないのです。それをごまかして就職活動もしたけど、やっぱりそっちが本音なので。ま、これ以上はやめておきましょう。
そうだ、深駆はメディアに対して結構批判的な立場にいるの(苦笑)。…日野が惨殺される理由はここにある(笑)。実は、最初の段階ではもう一人、宝井照明という新聞記者も出すつもりでした。今のマスコミがよくしているように(暴言深謝)、夜屋家の前に張り込んで、関係者を質問攻めにするシーンとかがあって、事件発生数日後に、犯人によってあまり深い動機は無いのに惨殺されるという…。そこに関しては申し訳ないと思うんですけど、でも…やっぱり、何かをおかしいって感じる。もちろん、日々そんなニュースを見ている自分が言える立場にはないのですが…。拙作「ゆめのうた」の前書きにも、美寛がこんな事を言うシーンがあります。
…今思い出したけど、美留奈って名前、実は一度使おうとしていたんだよなぁ。深駆の裏作品に「運命廊」という作品があったの。これは初期の作品で、つまり龍牙や隆臣が高校生の頃のお話。一人二役、二人三脚トリックのオンパレードで収拾が付かなくなってしまい、結局書いていない作品ですが(苦笑)。本来はこれに、美留奈ちゃんが出ていたの。そのときの名字は「理村」(ことむら)だったのかな?確かものっすごいお金持ちの家のお嬢様…って、今回と同じ設定?でも理村美留奈は1人っ子で超天然だったはず。実は美留奈には許婚がいて、相手の男の子の名前が「夢岡深駆」だったという設定も思い出した…(苦笑)。そうそう、龍牙がその名前を聞いて「シンク?…台所の流し台か?」とか言うの(笑)。で、深駆からしてみれば美留奈は「許嫁」であって、これを深駆が間違ってキョカって言うから、二人の関係がよく分からないまま話が進む…とか、そんなことも考えていた気がする(苦笑)。そうそう、それからフッと思い出したんだけど、この深駆には「乱射癖」があるの(爆)。あ、間違っても「現実世界の深駆」ではないですよ(笑)。いつもおもちゃの銃(しかも連射できるように改造してある)をズボンのポケットに入れていて、怒るといわゆるBB弾を乱射するっていうアブナイ設定(笑)。この銃が犯人逮捕に役立つハズだったんだけどね…。ま、今は実玖がいるからこの作品はお蔵入り、かな?名前からも分かるとおり「夢岡深駆」は、現在の霞賀実玖(つまり現実世界の深駆)と同じペルソナなので。…意味の捉えにくい文章でペコン。
まあ、とりあえず正直な感想は「疲れた…」です。でも、深駆ができるかぎり、本格的なものに近づけたつもりです。もちろん、これを「本格ミステリ」だなどという気は毛頭ありません。後半のペースが速すぎるし、トリックに関する論議も答えを隠して書いているのが見え見えだし、と自分でも思う。皆様、少々退屈でその割にエグかったかもしれませんが、深駆からの「シンクの夢」、楽しんでいただけましたでしょうか?深駆としては、目を通していただけただけで満足で、嬉しい気持ちでいっぱいです。
どうか今宵も皆様が、温かい夢を見られますように…って、こんな小説を読ませた後の言葉じゃないですよね(笑)。でも本当に、どうもありがとうございました♪ 

Dreamily Yours 深駆

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