Brotherhood
校門の前で「用事があるから」と言って時哉と別れた知之は、一目散に喫茶店"ライム"に向かっていた。
「もしかしたらもう兄さんとつかささんは会ってて…喫茶店で暫(しばら)く話をしてて…もしかしてもう二人で家に帰ってるのかも…!!」彼の頭の中の途轍(とてつ)もない妄想は誰にも止められなかった。
どれ位走っただろうか、知之は漸く"ライム"に着いた。
「まだ二人とも居るっスかね…?」知之は窓から店内の様子を覗いた。すると、テーブル席に座り誰かと親しげに話をしている祥一郎の姿が見えた。
「にっ、兄さん…?!てことはやっぱり…?ちょっ…相手が置物に遮られて見えないっス…」
その時、そんな怪しすぎる行動をしている知之の肩をつつく指があった。
「ちょっ…邪魔しないで下さいっス…今つかささんかどうか確かめてるんっスから…」
「え?あたしがどうしたって?」
「…え゛?」知之は、その聞き覚えのある声に振り向いた。そこに居たのは、紛れもなく古閑 つかさであった。
「…こんなトコで何してんの?知之クン…」