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Brotherhood


File6 〜in the Front of Cafe〜
「それにしても、マクラが補習に来るなんて珍しいさね」
こちらは吉田による補習から漸(ようや)く解放され、下駄箱で靴を履き替えている知之と時哉。
「ホントっスよ…2次関数は自信あったのに…って、なんか毎回補習に来てるかのような口調っスね(^^;)」
「ああ、俺数学は大の苦手だから毎回引っかかってんのさ」
「じゃあ、毎回こんなに遅くまで補習ってやってるんっスか?」
「うーん…今日はどちらかと言えば早めに終わった方さ」
「えっ?!いつもはもっと遅いんっスかっ?!」知之は、5時前を差す腕時計を見ながら言った。

校門の前で「用事があるから」と言って時哉と別れた知之は、一目散に喫茶店"ライム"に向かっていた。
「もしかしたらもう兄さんとつかささんは会ってて…喫茶店で暫(しばら)く話をしてて…もしかしてもう二人で家に帰ってるのかも…!!」彼の頭の中の途轍(とてつ)もない妄想は誰にも止められなかった。

どれ位走っただろうか、知之は漸く"ライム"に着いた。
「まだ二人とも居るっスかね…?」知之は窓から店内の様子を覗いた。すると、テーブル席に座り誰かと親しげに話をしている祥一郎の姿が見えた。
「にっ、兄さん…?!てことはやっぱり…?ちょっ…相手が置物に遮られて見えないっス…」
その時、そんな怪しすぎる行動をしている知之の肩をつつく指があった。
「ちょっ…邪魔しないで下さいっス…今つかささんかどうか確かめてるんっスから…」
「え?あたしがどうしたって?」
「…え゛?」知之は、その聞き覚えのある声に振り向いた。そこに居たのは、紛れもなく古閑 つかさであった。
「…こんなトコで何してんの?知之クン…」


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