inserted by FC2 system

Keys Quest

第13話
「あ、あれ…ノゾム君も一緒に落ちてきちゃったんっスか?」
困惑気味のトモユキ。
「えっと…あ、もしかして、兄にお会いになったんですか?」
「え、兄…?」
「あ、ぼく、ノゾムの弟でユウキって言います。ほら、兄とは髪が違うでしょう?」
「そ、そう言えば、ノゾム君より髪長いし青紫色っスね…」
「つーか最初に気付けよ」
後ろからツッコむタカムラ。
「それじゃあもしかして、兄と一緒にぼくを探しにいらしたんですか?」
「あ、うん、そうっス…あ、てことはこれで任務完了っスか?!」
「阿呆、ここから脱出しねえと意味ねえだろうが。この弟がまだこんなとこに居るっつーことは、まだ出口見つけてねえんだろ?」
「え、あ、そ、そうっスね…」
「あ、でも…出口っぽいところなら見つけましたよ」
「え?」
「あ、ぼくが持ってる地図にはこの地下のことまでは書いてなくて、ここに落ちてからいろいろうろついてみてたんです。そうしたら、あっちに扉みたいなのを見つけまして…」
「なんだ、じゃあそっから出れんじゃねえか」
「あ、でも、なんかヘンなパズルみたいになっていて…」
「パズル…?」

「ほな、トモユキ君とタカムラ君、ついでにミナトちゃんは、弟くんが落ちたんと同じこの罠に引っかかって地下に落ちてしもたっちゅうこっちゃな…」
穴が開いていたところに立って言うレツマ。
「そうさねー…しかもこの仕掛け、1回作動したらしばらく使えないみたいさ」
トキヤは仕掛けのあった壁のでっぱりに手をかけるが、押してもびくともしない。
「そ、それじゃあどうすれば…?」
「ま、ここでじいっと待ってるわけにもいかんしな。他に彼らんとこ行ける仕掛けとか無いか探してみよか」
「そうね、この仕掛けがいつ使えるようになるか分からないし。あんた、地図とか持ってないの?」
ミホが気だるそうに言う。
「あ、地図は弟が持ってたから…少しくらい覚えときゃよかったなー…」
「ま、ヒントならなくはないさ。なあ、カイト」
トキヤは、宙ぶらりんで暇そうにしているカイトに声を掛けた。
「…ああ、まあな」
「えっ、どーゆーこと?」
ノゾムは、その無愛想な妖精に詰め寄る。
「あーもーめんどくせえなっ…。妖精のきょうだいっつーのは、或る程度離れたところに居ても、感覚で相手の場所が分かるんだよ。だから、ミナトが今どのへんに居るかは大体分かるぜ」
「なーんだ、じゃあ簡単に見つけられそうだな」
つまらなそうに言うミホ。
「ま、ほなカイト君を頼りに探しに行ってみよか」
一行は遺跡の奥に向かって歩き出した。

「これは…?」
ユウキに先導されて、トモユキ達がたどり着いたのは、大きな石板の前であった。
「…確かに、パズルみてーだな」
「あ、えっと…石板の横に何か書いてるみたいっスけど…ユウキ君読めるっスか?」
「あ、はい。ぼく達は古代文字の研究もしてたので…」
ユウキは石板の横の文字列らしきものの前に立つ。
「えっと…”魔法に魅入られし者よ この9つの石板を適切な順番で押せ さすれば道は開かれん”だそうです」
「”魔法に魅入られし者”ねえ…」
タカムラはそう言うと、意味ありげにトモユキを見た。
「えっ…それってまさか、僕のことっスか?!で、でも、じゃあ”適切な順番”ってどうすれば…?」
「あ、えっとですね…」
ユウキが口を挟む。
「9つの石板の中で2つだけ、古代文字の数字が書いてあるんです…多分それがヒントなんじゃないかと…」
「数字?」
「はい…一番下の段の真ん中に”1”、一番右上に”2”と書いてあります」(下図参照)
「ふーん…なるほどな」
したり顔でつぶやくタカムラ。
「って、もしかしてタカムラ様、もう分かったんっスか?!」
「おや、分かんねえのか?”魔法に魅入られし者”さん?」

「”正しい順序に石板を並び替えよ 出来なければ 奈落に落ちろ”…」
一方こちらは、先程の場所から奥に進んだノゾムやレツマたち一行。
「んー…突き当たりにこんなパズルめいた石板があるなんてなあ」
「うん、古代文字でそう書いてあるんだ」
ノゾムが石板の横の文字列を見ながら言う。
「”正しい順序に並び替えよ”ってことは、この石板一個一個に書いてあるのも何かの文字なわけ?」
「あ、うん。数字が書いてあるよ。えっとね…左上から順に、123、456、87だね」(下図参照)
「てことは、7と8を入れ替えりゃいいって話さ?なーんだ、簡単じゃん」
「あ、でもこれ、石板を取り外すことはでけへんみたいやで?上下左右にずらすことはできるけど」
「んー…ま、色々やってみるしかないんじゃない?」
ノゾムはゆっくりと石板をずらしはじめた。

※数字が無いところに石板はありません。


最初に戻る前を読む続きを読む

inserted by FC2 system