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Keys Quest

第18話
しばらく続いていた光がようやくおさまり、パーティーはゆっくり目を開けた。
「一体、何があったのさ…って、あれ…?」
トキヤはまだ少し眩む目を疑った。目の前に山ほど居た筈の魔物が、一匹たりとも居なくなってしまったからだ。
「ど、どないなってんの、これ…?」
リカコも目を丸くする。
「魔王も、消えてもうた…」
レツマも、眼前に居た魔王・ミロクの姿が跡形もなく消えていることに驚いていた。
「ど、どういうこと?…って、トモユキ君?!」
レツマのもとに近寄ったチヒロは、その横でトモユキが倒れているのを見た。
「…ん」
トモユキの目がゆっくりと開く。上半身を起こすトモユキ。
「あ、あれ…ど、どうしたんっスか…?」
「どうしたって…ん?お前、それどうしたんだ?」
「え?」
タカムラに指差された胸元を見るトモユキ。何か赤い光が灯っている。
「こ、これって…」
トモユキは、首からかかっている”それ”をゆっくりと引っ張り出した。
「あ、それ!確かお妃様から貰ってたペンダントじゃない?」
チヒロが言う。
「でも、なんでこんな光ってんのさ?」
「破魔の石…」
「え?」
リカコが口走った言葉に、一同は振り向いた。
「それ、多分破魔の石やわ。持ち主の強い意志によって、魔族をすべて滅ぼしてしまうという謂れのある…」
「え、じゃあお妃様は、それを僕に託したってことっスか…?」
「え、ええ…たぶん…でも…」
「なるほど、そいつの力がトモユキ君の気持ちで発動されて、魔族が消えてしもたっちゅうことやな。でかしたでー、トモユキ君w」
「れ、レツマ様…」
レツマに頭を撫でられ、涙目になるトモユキ。
「あれ、でもおかしくなーい?」
「ん?何がや、チヒロ」
「だってほら、あの子はまだ生き残ってるよ?」
「え?」
チヒロが指差したほうを見ると、そこには地に伏せたままのトシミの姿があった。
「あ…すみません、なんだか私は消えなかったみたいなんですけど…」
「…なるほど、あいつは魔石のせいで魔力を全部失ってしまったから、破魔の石の効力を受けなかったってわけか」
とタカムラ。
「え、でもじゃあどうするんですか?」
「とどめとか差しとくか?」
ミナトとカイトが言う。
「んー…ま、それはあいつ自身に任すかな」
「あのー…お話中悪いんだけどー…」
一同の背後から少し怒りのこもった声がする。
「…いい加減あたしを此処から出してもらえないかな」
「ああっ、すみませんっス、ツカサ様!!」
トモユキはツカサが閉じ込められている檻に駆け寄った。

そうして、無事ツカサ姫を助け出した一行は、国王の待つ城に向かうのでありました。

「王様、ツカサ姫を助け出して参りました」
城の謁見の間。王のソーシと王妃のシオリの前には、跪いているレツマとトモユキ、そしてツカサが居ました。
「おお、よくやってくれた!流石は我が国が誇る”竜騎士”だ。心から礼を言うぞ」
王は少し涙目になりながら言う。
「有難うございます、王様。ですが…」
レツマは、ちらと横に目配せをして言う。
「姫様の救出に大きな役割を果たしたのは、私というよりも寧ろ、このトモユキでございます」
「えっ…?」
王や王妃よりも、当のトモユキが一番どっきりした表情を見せた。
「そ、そうなの…?」
王妃が不思議そうな表情で尋ねる。
「ええ…戦闘の時には私のサポートをしてくれましたし、最後に姫様の救出をやってのけたのも彼でした。彼が居なければきっと姫様を助け出すことは出来なかったと思います」
「そうか…それでは、お前にも何か褒美をしてやらねばな」
「ほ、褒美っスか…?」
「ああ。一つお前の願いを叶えてやろう。何でもいいから、言ってみるがよい」
戸惑いながら、トモユキは一生懸命願い事を考える。そして、ツカサの姿を見てから言った。
「…ぼ、僕…ツカサ姫とお付き合いをさせていただきたいんっス…っ!」
「ええっ…?!」
「と、トモユキ君…?」
鳩の小屋に豆鉄砲を乱射したかのように、一同(とくにツカサ)は驚きと呆気に取られる。
「ぼ、僕、ずっとツカサ様のことを見てきて、どうしようもなく好きになってしまったんっス…その気持ちがあったからこそ、ツカサ様を助けたいと思って…だから、その…」
「…あたしからも、お願いするわ」
ツカサの発言が、更に場に波紋を広げる。
「えっ、ツ、ツカサ様…?!」
「やっぱりあたし、トモユキ君が助けに来てくれた時すごく嬉しかったし…あたしも、こういう子嫌いじゃないからさ」
「う、うむ…ツカサまでそう言うのだったら…」
王が言いかけたその時、立ち上がる者が居た。
「ちょっと待って!!」


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