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Keys Quest

第7話
「え、く…クイズっスか…?」
きょとんとするトモユキ。
「ていうか、”俺ら”ってどういうことや?」
レツマが怪訝そうに尋ねる。
「実は俺、一人で旅してるわけじゃなくってさ」
そう言うと、トキヤは右手を軽く上げ、指を鳴らした。
(ま、まさか…敵か…っ?!)
レツマは剣に手をかけ、一気に臨戦態勢をとる。
…が、そんな彼の視界に飛び込んできたのは、小さな2つの影だった。
「…は?」
トキヤの元に飛んできた”それら”は、彼の顔よりも小さいが確かに人の形をしており、蝶のような羽が背中から生えている。1人は少女、1人は少年の姿だった。
「えっとー…妖精っスか…?」
「ああ。ほら、自己紹介してやって」
トキヤに促され、2人の妖精はトモユキらの前に飛んでくる。
「えっと私、トキヤさんと一緒に旅してる妖精で、ミナトっていいますwこっちは弟のカイト。よろしくお願いしまーすw」
少女の方が笑顔で言う。少年の方は無愛想にしたままだ。
「あ、ああ…宜しく…」
しどろもどろに返答するレツマ。さっきまでの警戒は無いが、困惑は消えない。
「えっと…それじゃあこの妖精さんたちと一緒にクイズを出すっていうことっスか?」
「ああ、そうさ。んじゃ、役者も揃ったことだし、始めるさ」

「今から、俺ら3人が代わる代わる発言していく。但し、3人のうち本当のことを言うのは1人だけで、残りの2人は全ての発言で嘘をつくこととする。本当のことを言ったり嘘を言ったりするっつー奴は居ないってことさ」
トキヤはギターを脇に置きながら立ち上がる。
「で、全員が3回ずつ発言し終えたら、その10秒後に俺、トキヤの年齢が何歳であるかを答えてもらうさ。シンキングタイムが10秒っつーことさ。んで、誰か1人でも正解してたらそいつの勝ちってことで。ま、これ街とかでよくやって食費や宿賃を浮かしてるゲームなんだけど、どうさ?」
「あー、一つ聞きてえんだけど」
珍しく(?)、タカムラが発言する。
「んー、何さ?」
「お前らのこれまでの発言に、嘘はねえだろうな?例えばお前が嘘をつく役だったとして、ルールの説明にも嘘が混ざってたりしたんじゃたまったもんじゃねえからな」
トモユキとレツマは心の中で「お前が言うな」とツッコまざるを得なかった。
「ああ、それは勿論さ。嘘をつくのはこの後の3回ずつの発言の中だけ。そうじゃねえとフェアじゃなくて面白くないしさ」
「んじゃ俺からも一つ質問ええか?」
今度はレツマが挙手をしながら言う。
「”嘘をつく”っちゅうんは、”全く逆の発言をする”って意味でとらえてええんか?ほら、”AはBより10歳上”とか言う発言が嘘やったら、”AはBより10歳下”になるかどうか」
「あー、それはそういうことにしてくれさ。つーか俺らが今からそういう発言するってよくわかったさね」
「まあ、年齢当てさすんやからそれくらいのこと言わんとしゃあないかなと思て」
「なるほどなー、まあいいさ。んじゃ、始めさせてもらうさ。耳の穴かっぽじってよーく聞けよ?」

ミナト「カイトは本当のことを言ってます」
トキヤ「ミナトは嘘をついてるさ」
カイト「俺は本当のことを言うぞ」
トキヤ「カイトは12歳さ」
カイト「ミナトは16歳だ」
ミナト「カイトは10歳ですよ」
カイト「トキヤはミナトより1歳年下だ」
トキヤ「ミナトとカイトは2歳差さ」
ミナト「トキヤさんかカイトの2人のどちらかは私と同い年です」

「…さ、発言終わったぜ?10、9、8…」
(えっ…えっとー…)
トモユキはトキヤのカウントダウンに心を揺らされる。
「7、6…」
(カイト君が12歳だって言うトキヤさんと10歳だって言うミナトちゃんとのどちらかは嘘ってことっスよね…?)
「5、4…」
(あ、でも、2人ともが嘘だってことも考えられて、そうだったらー…)
「3、2、1…」
(うわーっ、もう僕、ワケ分かんないっスーっ!!)
「タイムアップさ。そんじゃ正解を、せーの」


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